脳卒中入院 diary

脳卒中で入院していたときに思ったことなどを書いてみました

不自由なひとり旅 9

 車で不自由なひとり旅に出かけた私は秋田県にかほ市のコンビニにいた。遅めの昼食のサンドイッチと、今日の夜にホテルで飲むため秋田の地酒の小さい瓶を買った。おつまみと弁当も調達。コンビニの駐車場に止めた車の中でサンドイッチを食べながら時計を見たが、ご飯も食べず高速を飛ばして来たので、このペースだと目的地の酒田市まで計画より早く着きすぎる。どこかいい寄り道スポットはないかと思い、持って来ていたipadで調べてみた。コンビニの駐車場は無料でwi-fiが使えるので便利だよね。調べててみると目の前にそびえる鳥海山の5合目まで鳥海ブルーラインという道があり、ここから30分で行ける。ちょうどいい寄り道だ。鳥海ブルーラインはカーブの多い山岳道路。ちょっと気合を入れてコーナーリングを楽しむ。片手運転なのでそんなには攻められないけどね。5合目の駐車場で車を降りてみる。さすがに鳥海山の5合目は空気が冷たい。山頂の方を見上げると7合目から上はまだ雪が残っている。私はアウトドアが好きでいろいろやっていた。登山も結構やった。だけど今は、杖をついて数十メートルしか歩けない体だ。多分もう一生無理だろう。あきらめなきゃいけないところはスッパリとあきらめるしかないね。鳥海山への寄り道は気分が良かった。

 そこから再び酒田市へのルートへ戻って走ると夕方の4時半頃には酒田市のホテルに到着。ネットで予約した時には宿泊料が安かったのであまりいいホテルを期待していなかった。ついてみると思ったより綺麗なシティーホテルだった。入り口近くにある身障者用の駐車スペースに車を止めてフロントへ歩いた。チェックインを済ませるとホテルのフロントの人が私の足が不自由なのを見て、車椅子をご用意いたしますかと声をかけてくれた。ゆっくり歩けば大丈夫なので結構ですと言ってエレベーターへ向かった。このホテルではこれから結婚披露宴があるらしい。ドレスアップした人がロビーにいっぱいいた。幼稚園くらいの小さな男の子がかわいいスーツに蝶ネクタイをした姿でこちらをじっと見ていた。杖をついた変な歩き方のおっさんが気になったのだろう。目があったので、こんにちはと声をかけた。お母さんと思われる人が子供を向こうに引っ張っていった。あんまり見ちゃダメっと叱っていた。こっちは何にも気にしてないんだけどね。

 部屋のある5階でエレベーターを降りる。部屋がエレベーターから遠くて大変だった。今度ホテルを予約するときは歩く距離の短い部屋をリクエストしよう。部屋に入ってシャワーを浴び、買って来た秋田の地酒を飲みお弁当を食べた。なんの問題もなかった。脳卒中になっちゃう前から数えて2年半ぶりのロングドライブの疲れと、地酒が効いてぐっすりと眠れた。

 

 

 

筆者 50歳代 男 バツイチ ひとり暮らし