脳卒中入院 diary

脳卒中で入院していたときに思ったことなどを書いてみました

不自由なひとり旅 9

  脳卒中で体が不自由になっちゃった私。それでもひとり旅がしてみたいと計画していよいよ出発の日。昨年の4月中旬、天気の良い日だった。朝10時ごろ私の住んでいる青森市から最初の目的地に設定した山形県酒田市に向かって車で出発。東北自動車道の青森インターから高速道路にのり、秋田県の小坂JCTで秋田道方面へ。快調なドライブだった。軽い朝食は食べて来たのだがそろそろ昼でお腹がすいてきた。昼食は高速のパーキングで食べようと考えていた。高速のパーキングのレストランは地元の特産物を使ったメニューがあり楽しみだった。しかし、早くも計画通りいかなかった。秋田自動車道にはレストランのあるパーキングはなかった。全然知らなかった。それくらい調べておけってやつだよね。高速をおりて食べ物屋さんを探そうにも秋田自動車道のこの区間は食べ物屋さんのありそうなところは通らない。腹減ったなぁと思いながらトイレだけのパーキングに入り自動販売機でジュースを買った。私の右手は動かせないのでジュースを飲みながら運転は出来ない。パーキングでジュースを飲み終わってから空腹のまま出発した。

 秋田自動車道から日本海東北道へ入る。日本海東北道はまだ全線開通してないので高速をおりて走らなければいけない区間がところどころある。一般道を走っていると左側に残雪がのこる美しい山並みの風景が広がった。コンビニがあったのでレストランはあきらめコンビニのサンドイッチですますことにする。コンビニは入り口のすぐ近くに車を止められるし、店内も狭くてあまり歩けない私には強い味方だ。だが問題もある。コンビニはカートを置いてある店とない店がある。カートを置いてある店だと杖代わりにカートを頼ればいい。私は、右手が使えなくて左手に杖をもっているのでカートのない店だと商品をもつことが出来ない。しょうがないので商品をバックや上着のポケットにいれてレジまで行くのだが、万引きしてると思われそうで嫌だった。まあ、見ればすぐに体が不自由なのが分かるので今まで何か言われた事はないけどね。それどころか東北地方のコンビニの店員はみんな本当に親切だ。レジで若い女の店員さんに、あの雪の残ってる綺麗な山はなんという山か聞いてみた。えっ、どの山ですかと店員さん。目の前の一番大きな山ですけどと言うと、不思議そうな顔で、鳥海山のことですか、と店員さん。この世の中に鳥海山を知らない人がいるなんて信じられないという口調で教えてくれた。地元の人にとってはあの有名な鳥海山を知らない日本人などいないと思っているのだろう。また一つ賢くなった。

 

 

筆者 50歳代 男 バツイチ ひとり暮らし