脳卒中入院 diary

脳卒中で入院していたときに思ったことなどを書いてみました

不自由なひとり旅 10

  酒田市のホテルで目を覚ました。起き上がって服を着る。脳卒中の後遺症で右手と右足が不自由なので服を着るのも一苦労だが、着たり脱いだりが一人でやりやすい服を選んでいるし、だいぶ慣れてきたのですこしは早く着られるようになってきていた。

 ホテルの朝食はバイキング形式。片手が使えなくて使える手は杖を持っているので、自分でトレーを持ち食べ物をとってくるバイキングは無理だ。バイキングの会場にいく途中フロントににいたベテランのホテルウーマンに、私は体が不自由でバイキングは無理なのでどなたか手伝っていただけませんか、とお願いしてみた。もちろんいいですよ、と笑顔で答えてくれて一緒に会場までいってくれた。朝食会場の入り口近くの席に座り、洋風で料理の内容はお任せで、とお願いした。ホテルの人がもってきてくれた朝食の盛り付けを見て感動した。いかにもホテルの朝食という感じで美しい。私がバイキングをやると、男の盛り付けという感じでぜんぜんきれいじゃなくなるのだが流石にプロは違うなぁ、と思った。おかわりはホテルのものに声をかけてくださいと言って戻って行った。

 チェックアウトを済ませ車へ乗り込む。二日目の日程は酒田市から内陸の方向へはしり奥羽山脈をこえて宮城県大崎市にあるペンションを目指す。まっすぐ走ると二時間半の行程なので時間に余裕がある。酒田市内を走り回ってみる。著名な観光地は、だいたいが駐車場に車を止めて歩かなければいけないので私には厳しい。このへんが不自由なひとり旅の課題だね。

 酒田市を出て奥羽山脈越えルートに入る。曲がりくねった山道を音楽を聴きながら走るのは気分がハイになる。奥羽山脈のピークを越えるともうすぐ目的地。大崎市といってもそこは山の中でオニコウベスキーリゾートが近くにある鬼首温泉郷のペンション村だ。私は若い時に一年間宮城県に住んでいたことがあり、その時になんどか来たことのある思い出のあるスキー場だ。鬼首(おにこうべ)という恐ろしい名前だがヨーロッパ風のとてもおしゃれなスキーリゾートだった記憶がある。しかし、スキー場の脇を通るとなんだか寂れた感じだった。まあシーズンオフのスキー場なんてこんなものかと思う。

 ペンションに到着。玄関の呼び鈴を鳴らすとご主人が出迎えてくれた。私はちょっと体が不自由なのでお手数をお掛けするかもしれませんがよろしくお願いしますというと、なんでも遠慮なく言ってくださいと私のバックを持って部屋まで案内してくれた。

 昨日泊まったホテルもよいのだが、ペンションの方はそれとはまた違った良さがあるよね。私はどっちも好きなので今後も気分によって使い分けようと思った。

 

 

  

 

筆者 50歳代 男 バツイチ ひとり暮らし