脳卒中入院 diary

脳卒中で入院していたときに思ったことなどを書いてみました

不自由なひとり旅 11

 不自由なひとり旅の二日目の夕方、宮城県鬼首温泉のペンションに到着した。部屋は二階で、エレベーターなどはないのでペンションのご主人の手をかりて部屋までいった。エレベーターとかバリヤフリーを求めるならホテルのほうがいいかもしれないが、人の優しさが伝わってきてこっちも悪くない。

 一休みした後で温泉に入る。私の不自由なの足だと、大きい浴場の温泉は転びそうで無理だが、このペンションの温泉は家庭用を少し大きくした位の浴室なので壁や浴槽を伝って入れそうだ。全国的に有名な鳴子温泉と同じエリアの温泉だけに泉質はとてもいい。2年半ぶりの温泉にゆっくりと浸かった。

 温泉を出るとダイニングで風呂上がりのビールを飲みながら夕食を待つ。スキー場のオフシーズンでゴールデンウィークの前だからだろう、客は私だけで貸し切りだ。

 ご主人が料理を運んでくる。洋食のコースだ。私はずっと以前に宮城県に住んでいたことがあり、ここのスキー場が好きで何度か来たことがあると言うと話がはずみ、いろいろ教えてくれた。オニコウベスキーリゾートはオープン当初、三菱地所が経営していてヨーロッパ風のとても雰囲気のいいスキー場で人気があった。しかし、経営が変わってから人気がなくなり客も減っちゃったんだって。ペンションのご主人は、もちろんスキーもするが、フライフィッシングという洋風の渓流釣りが一番の趣味で、雪のないシーズンはフライフィッシング繋がりの客が多いらしい。アウトドア好きだった私もフライフィッシングが大好きだったのでますます話がはずみビールの他に赤ワインも二杯飲んでしまった。スキーもフライフィッシングもこの体ではもう出来ないけどね。趣味の多い人ほどあきらめなければいけないものも多いけど、趣味で繋がっていた友人は残っているのでいろいろやってて良かったと思う。

 温泉とワインが効いたのか、この日も早めに寝た。

 早く寝たので次の朝は6時前に目が覚めた。窓の外を見て、ものすご~くびっくりした。雪が降っている。それも、チラチラと降っているのではない。まるで前が見えないほどの激しい吹雪。夜間ずっと降り続いていたのだろう、一面の銀世界だ。旅にハプニングはつきものだがこれはすごすぎる。

 朝食の時間になりダイニングに降りていった。その頃には雪はやんでいたが駐車場の車の屋根には30センチ位雪が積もり、かまくらのようになっていた。私の住んでいる青森市の冬だと一晩に30センチ積もることなど珍しくないが、4月中旬の宮城県でこんなことになるとは・・・・

 

 

  

 

筆者 50歳代 男 バツイチ ひとり暮らし